コンディショナーなどの成分などを解説するときに出てくる界面活性剤に、陽イオン界面活性剤(カチオン界面活性剤)という成分があります。
陽イオン界面活性剤(カチオン界面活性剤)とはどういうものなのか、どういう性質があって、界面活性剤の中ではどういう位置づけのものなのかについて解説します。
陰イオン界面活性剤(アニオン界面活性剤)(シャンプー成分事典)
非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)(シャンプー成分事典)
陽イオン界面活性剤(カチオン界面活性剤)とは
陽イオン界面活性剤(Cationic Surfactant)とは、分子中の親水基にカチオン基をもっている界面活性剤のことであり、初期の頃にはリンスとして普及し、現在ではヘアケア製品を中心に様々な製品に使用されています。
注:陽イオン界面活性剤は陰イオン界面活性剤の逆のイオン性を有していることから「逆性セッケン」または「陽性セッケン」と呼ばれることもあります。
陽イオン界面活性剤(カチオン界面活性剤)の主な働き
・帯電防止
・殺菌
帯電防止
陽イオン界面活性剤(カチオン界面活性剤)は、帯電防止の目的で、ヘアコンディショニング製品、ヘアトリートメント製品、ヘアケア製品、アウトバス製品、トリートメントインシャンプー製品などに使用されています。
水道水やシャンプーは、通常は弱酸性であり、シャンプー直後の毛髪の表面はマイナスに帯電しています。
一方で陽イオン界面活性剤はプラスの電荷をもっていることから、マイナスに帯電した毛髪表面に吸着します。
このとき、マイナスとプラスの電荷がくっつくことで、陽イオン界面活性剤の帯電していない面が外側に向くことになり、この結果、髪の表面がなめらかになるとともに、静電気を抑え(帯電防止)
すすぎや乾燥後の摩擦を低減し、毛髪のくし通りがよくなります。
殺菌
殺菌の目的で洗浄製品、スキンケア製品などに使用されています。
殺菌作用が働く作用については明確ではありませんが
・細菌の表面はマイナスの電荷を持つことから細菌に吸着し迅速に殺菌効果が発揮される。
・細菌の細胞膜に作用し、破裂しやすくなる。
・細胞膜タンパク質を変性させて、酵素機能を喪失させる。
などの作用で殺菌効果があると考えられています。
分類:界面活性剤
英:Cationic Surfactant
陽イオン界面活性剤(カチオン界面活性剤)の安全性
界面活性剤の中でも陽イオン界面活性剤は皮膚および粘膜への刺激が強いと言われています。
ただし、コンディショナーなどへ配合される場合の濃度は0.1%-1.0%程度であり、この程度の濃度であれば、一般に皮膚刺激はほとんどないか、あっても無視できる程度で、使用後すぐに洗い流す製品であれば安全性にはほとんど問題がないと考えられます。