髪の主成分はケラチンで出来ています。
このケラチンとは何?どういう成分で、どのような働きをしているのでしょう。
ケラチンとは何
ケラチンは18種類のアミノ酸が結合して作られるタンパク質で、髪だけでなく爪や、皮膚の角質層を作るためにも使われている成分です。
髪に含まれている成分は
タンパク質が80~90%(そのうちケラチンが90%)を占めていて
その他の成分としては水分、脂質、メラニンなどがあります。
ケラチンを構成している18種類のアミノ酸
ケラチンは18種類のアミノ酸から構成されています。
シスチン
シスチンは髪の主要成分であるケラチンを構成するアミノ酸の中で最も多く(17.2%)含まれる成分です。
含有する硫黄はケラチンの成分となるので、シャンプーやトリートメント、スカルプケアなどによく使用されています。
シスチンの含有率が高くキューティクルのかさなりが多いと、硬い髪の硬毛になり、キューティクルの重なりが少ないと、柔らかい髪の軟毛になります。
グルタミン酸
グルタミン酸は酸性アミノ酸に分類される疎水性(水に溶けにくい)アミノ酸で、髪の主な成分であるケラチンのうち13.8%がグルタミン酸です。
保湿作用が有りシャンプーなどに配合される場合は、頭皮環境の改善が期待されます。
アルギニン
アルギニンは水溶性のアミノ酸で、髪の主要成分であるケラチンのうち9.1%がアルギニンです。
シャンプーなどにアルギニンを配合することでパサつき抑制による毛髪修復作用や保湿作用が期待されます。
スレオニン(別名トレオニン:threonine) は中性アミノ酸のオキシアミノ酸に分類される水溶性アミノ酸で、髪の主要成分のケラチンの7.6%を占める成分です。
肌(頭皮)細胞の活性化や保湿作用効果、紫外線防止作用があることから、頭皮環境や髪のハリやコシを改善する成分として配合されています。
セリン
セリンは中性アミノ酸のオキシアミノ酸に分類される水溶性アミノ酸です。
髪の主成分であるケラチンのうち、セリンは6.9%を占める成分で保湿作用のほか頭皮の新陳代謝を促進する働きも期待されます。
プロリン
プロリンは、中性アミノ酸のイミノ酸に分類される水溶性アミノ酸で、髪の主要成分であるケラチンの内6.7%がプロリンです。
主な機能としては角質層水分量増加による保湿作用が期待され、ヘアケア製品にも頭皮や髪のコンディションを整える目的で使用されます。
ロイシン
中性アミノ酸の脂肪族アミノ酸に分類される疎水性(水に溶けにくい)アミノ酸で髪の主成分であるケロチンのうち6.5%を占める成分です。
化粧品などに配合される場合は、角質層水分量増加による保湿作用を目的に配合されます。
バリン
バリンは中性アミノ酸の脂肪族アミノ酸に分類される疎水性(水に溶けにくい)アミノ酸で、髪の主要成分ケラチンのうち5.6%を占める成分です。
化粧品などに配合される場合は角質層水分量増加による保湿作用の目的で使用されます。
アスパラギン酸
アスパラギン酸は、酸性アミノ酸に分類される疎水性(水に溶けにくい)アミノ酸で、髪の主成分であるケラチンを構成するアミノ酸の6%を占めています。
シャンプーなどに配合された場合は、保湿効果により頭皮環境の改善が期待されます。
イソロイシン
疎水性アミノ酸(水に溶けにくいアミノ酸)でケラチンのうち4.8%がイソロイシンです。
保湿作用がありますが、傷んだ髪を修復する目的のシャンプーやトリートメントによく配合されています。
グリシン
グリシンは、ケラチンの4.1%を占める成分で、中性アミノ酸の脂肪族アミノ酸に分類される水溶性アミノ酸です。
保湿効果、血行促進効果、抗菌・抗酸効果、キレート作用、緩衝作用など、幅広い機能があり、代謝を向上させることで育毛にも効果が期待できることから、育毛剤や育毛シャンプーといった製品へ配合されることもあります。
アラニン
アラニンは疎水性(水に溶けにくい)のアミノ酸でケラチンの2.8%を占める成分です。
一般的には角質層水分量増加による保湿作用の目的で使用されるほか、ヘアコンディショニング剤に分類されます。
特にダメージを受けた頭皮の保湿機能に優れます。
フェニルアラニン
フェニルアラニンは、中性アミノ酸の芳香族アミノ酸に分類される疎水性(水に混ざりにくい)アミノ酸で、ケラチンのの2.5%を占める成分です。
保湿作用があることから主に基礎化粧品に使用され、肌が乾燥することから守る働きをします。
シャンプーやトリートメントに配合することで、しっとりしたまとまりのよい髪にする効果があります。
リシン
リシン(別名リジン:lysine)は、アミノ酸の一種である塩基性アミノ酸に分類される水溶性アミノ酸で、ケラチンのうち2.5%を占める成分です。
角質層水分量増加による保湿作用があり、抜け毛の原因になる頭皮環境の改善のためにシャンプーなどにも使用されています。
チロシン
チロシンは中性アミノ酸の芳香族アミノ酸に分類される疎水性(水に溶けにくい)アミノ酸で髪の主成分であるケラチンの2.4%を占める成分です。
また、チロシンは体内において黒髪のもとになるメラニン色素の原料となります。
ヒスチジン
ヒスチジンは、塩基性アミノ酸に分類されるアミノ酸で、ケラチンの0.9%を占める成分です。
天然保湿因子NMFの成分で、保湿作用や新陳代謝を促進する働きがあり、またヒスチジンを補うことで毛髪のパサつきの抑制、改善に効果があると考えられます。
髪の毛のダメージを抑えまとまりよくすることから、シャンプーやトリートメントに使用されます。
メチオニン
メチオニンは、疎水性のアミノ酸で、髪の主成分であるケラチンの0.9%を占める成分です。
人の体内では作り出せない必須アミノ酸で、多くの食物に含まれる成分です。
トリプトファン
トリプトファンは、髪の主要成分であるケラチンの0.8%を占める成分です。
人間の必須アミノ酸の一つで、生体リズムと関連するセロトニンやメラトニンに代謝される成分でもあることから、体内で不足すると睡眠リズムが狂ったり、ストレスの原因になったりすることで髪の健康な生育に影響が出る可能性があります。
ケラチンの働きや役割は、不足するとどうなる
ケラチンが不足すると、髪にも様々な不具合が起きてきます。
髪のつやがなくなる
ケラチンは髪の主成分ですから、不足すれば髪の成分が不足して、スカスカの状態になります。
そうなれば髪のつやがなくなったり、強度が弱くなって切れ毛になりやすくなったりすることもあります。
髪が細くなる
髪の主成分のケラチンが不足すれば当然、健康な髪を作り出すことが難しくなり、髪はやせ細って細くなるばかりでなく、髪が作り出されるスピードが遅くなって、なかなか髪が伸びなくなったり
毛量が減ることで薄毛が目立ってくることもあります。
髪のうねりの原因になる
髪の原料のケラチンが不足すれば、髪が細くなるばかりでなく、髪の生成にも不揃いが出てきて、ケラチンが不足している部分の強度や、太さが足りなくなり、髪が折れ曲がって成長することになり、うねりの原因にもなります。
まとめ
ケラチンは18種類のアミノ酸から構成されており、それぞれのアミノ酸は髪を修復したり、保湿や育毛に効果が期待できる成分もあり、髪の主成分を構成する成分ということもあってシャンプーや育毛剤などにも配合されることの多いアミノ酸でもあります。